唐木仏壇

木竹工業から派生した日本一の産業

徳島県は全国的に見ても仏壇の生産が盛んな県で、特に唐木仏壇と呼ばれる、木目が美しく重厚な風合いの仏壇の出荷額は、昭和40年ごろから現在に至るまで日本一を誇っています。ここでは徳島県の唐木仏壇の歴史と、その伝統の特徴や今をご紹介します。

大阪から伝わる仏壇作り

徳島は古くからから大阪と深い交流があり、仏壇もその一環で、明治中期（1890〜1900年頃）に徳島県産の椎・樫・桑・栗などで仏壇の厨子（ずし：収納箱）を作って大阪へ送ったものが始まりであるといわれています。木竹工業の発展によって高い木工技術と製造の土台を持つ徳島の職人は仏壇作りに可能性を見出し、大正時代（1912年〜）に入り、大阪で唐木仏壇や唐木細工の技術を学びました。技術を習得した職人たちが徳島に戻り、唐木を使った仏壇の製造を始めます。
日本一の産地に

昭和12～13年（1937〜1938年）頃には、現在のような唐木仏壇が作られるようになりました。そして、第二次世界大戦で大きな被害を受けた大阪で生じた大量の仏壇の需要によって戦後大きく販売を伸ばし、徳島は唐木仏壇の一大産地として発展しました。

唐木が生む美しい木目

唐木仏壇は金仏壇と違って金箔などの豪華な装飾があまりなく、その代わりに木目の美しさが生かされています。唐木の名称にも使われる「唐木（からき）」というのは黒檀（こくたん）・紫檀（したん）・鉄刀木（たがやさん）などの非常に堅い木材で、釘が入らないためほぞを使った独自の接合が必要となります。徳島の唐木仏壇にはこの唐木のほかに屋久杉・桑・欅・桜などの素材も使われます。丈夫で重厚感のある美しい唐木仏壇は、従来の日本建築の家屋にも溶け合い、高い人気を誇りました。
時代に合わせて「家具調仏壇」も

家屋もシンプル化が進む現在では、インテリアに合わせて唐木にこだわらずシンプルでモダンなデザインの新しい仏壇「家具調仏壇」や位牌（仏壇内に飾られる故人の名前が刻印された木札）の製造も広がっています。唐木仏壇と比べて小型で安価、リビングに置いても違和感が無く、インテリアに調和した家具のような仏壇や位牌の需要が急速に高まっています。徳島の仏壇メーカーも、伝統を大切にしつつも新しいスタイルを取り入れながら、日本有数の仏壇の産地として発展を続けています。

全国1位の出荷額を誇る徳島の唐木仏壇メーカーの組合5団体で構成される連合会です。2007年には「徳島唐木仏壇」の地域団体商標登録を行い、制作物の見本市や販売店での設置などを実施し、他産地の商品との産別化、徳島産製品の保護、ブランド力の向上に取り組んでいます。